「東京医大の研究」特設サイト
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「患者に優しい医療(低侵襲医療)」の実現に向けた研究活動

「患者に優しい医療(低侵襲医療)」
実現に向けた研究活動

04 エクソソームを用いた未来の医療開発 Research

Research

分子病理学分野 RNA医薬品の経口投与を可能にする
植物由来エクソソームによる新規DDSキャリアの開発

当分野では、世界に先駆けてエクソソームを用いたドラッグデリバリーシステム(DDS)の研究に取り組んできました。特に、EGFRに高親和性を示すGE11ペプチドを搭載した人工改変エクソソームの開発や、RNA医薬の腫瘍内送達による治療効果の実証など、DDS研究の基盤を築いてきました。近年は、動物由来エクソソームの経口投与の限界を克服すべく、アセロラ果実から分離した植物性エクソソーム様小胞(AELNs)に着目し、経口投与可能な新規DDSとしての応用を進めています。現在はAMED「橋渡し研究シーズB」の支援のもと、経口核酸医薬の実用化を目指して、AELNのGMP製造体制の構築および前臨床試験を進めていく予定です。また、核酸以外にも、タンパク質や抗体など多様な医薬品成分の搭載を可能にするプラットフォーム開発にも挑戦しています。

【分野HP】
東京医科大学 分子病理学分野
【研究実績に関する主な論文】
2025年3月【UP】  
2025年2月【UP】

医学総合研究所
未来医療研究センター 分子細胞治療研究部門
エクソソームによる新規治療法の開発

当研究室では、エクソソームを介したがんの増殖、浸潤、転移などのがん悪性化メカニズムおよび、がん微小環境の形成や前転移ニッチェの形成メカニズム解明に向けて研究を行っています。例えば、がん細胞が分泌するエクソソームに内包されるmiRNAが腫瘍内血管新生を引き起こし、その結果、エクソソームおよびエクソソーム内miRNAが転移にも関与していることを明らかにしました。さらに、がん細胞が分泌するエクソソームは脳血液関門を破壊し、脳転移を促進する一因であることも報告しています。こうしたエクソソームの機能解析から得られた知見をがん治療へ応用することも試みています。がん細胞のエクソソーム分泌を阻害することで、がん微小環境や前転移巣の形成に必要な情報を遮断し、転移を抑制する研究をしており、さらに、血中に分泌されたがん細胞由来のエクソソームを除去する治療法の開発も行っています。また、がんに限らず、心臓の線維化に対する治療法としてエクソソームが新規治療薬になりうることを示しました。

【部門HP】
東京医科大学 医学総合研究所
未来医療研究センター 分子細胞治療研究部門
【研究実績に関する主な論文】
2024年8月27日 2024年6月28日