「東京医大の研究」特設サイト
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「患者に優しい医療(低侵襲医療)」の実現に向けた研究活動

「患者に優しい医療(低侵襲医療)」
実現に向けた研究活動

06 低侵襲的内視鏡手術開発 Research

Research

消化器内科学分野 【NEW】膵神経内分泌腫瘍に対する
超音波内視鏡ガイド下エタノール注入療法後の長期治療成績

膵神経内分泌腫瘍(PNEN)の標準治療は手術ですが、2cm以内の腫瘍における最適な術式は定まっておらず、膵切除術は術後合併症や糖尿病のリスクが問題となります。近年、腫瘍径15mm以下かつGrade1のPNENに対して、超音波内視鏡ガイド下エタノール注入療法が低侵襲な代替治療として注目されております。「膵神経内分泌腫瘍に対する超音波内視鏡ガイド下エタノール注入療法:多施設共同前向き介入研究」を特定臨床研究、先進医療Bの参加施設として、本治療の短期での有効性および安全性を評価してきました。現在、本治療の長期的な再発率や膵機能温存効果、糖尿病発症リスクを評価する研究も行っております。

【分野HP】
東京医科大学 消化器内科学分野
【研究実績に関する主な論文】
2025年4月

消化器内科学分野 悪性胃?十二指腸狭窄に対する超音波内視鏡下胃空腸吻合部の
有効性と安全性に関する研究

悪性疾患(膵癌や胃癌など)により胃十二指腸狭窄(胃や十二指腸の内腔が狭くなってしまうこと)を有する患者さんは、食物の通りが悪くなり食事が思うように摂れなくなったり、吐いてしまうといった症状が出現します。これまでは、外科的に胃と空腸をつなぐバイパス術や、狭窄部に金属ステントを内視鏡で留置し拡げる手技が行われてきました。我々は、この2つの手技の利点を合わせた、低侵襲で確実なバイパスを行うことのできる、「超音波内視鏡下胃空腸吻合術」を開発しました。超音波内視鏡(先端に超音波装置のついた胃カメラ)を用いて、胃から空腸を穿刺し穿刺経路に専用ステントを留置することで、胃と空腸を吻合(臓器と臓器をつなげて新たにバイパス路を作ること)するという処置となります。超音波内視鏡下胃空腸吻合術の有効性、安全性を評価することを目的に、特定臨床研究として行い、今回、優れた長期予後の成績を下記の論文に報告しました。治験は症例集積が終了し、現在予後を解析中です。

【分野HP】
東京医科大学 消化器内科学分野
【研究実績に関する主な論文】
2025年1月【UP】 2024年2月

産科婦人科学分野 鋼線吊り上げ法による腹腔鏡子宮筋腫摘出術の有用性について

一般的に腹腔鏡は気腹法と呼ばれる炭酸ガスを用いた手法が主流です。当院では炭酸ガスによる合併症を無くすため鋼線吊り上げ法を取り入れています。気腹法による腹腔鏡手術やロボット支援下手術も多く行っていますが、鋼線吊り上げ法による腹腔鏡手術は子宮筋腫に対する手法として非常に有用です。
鋼線吊り上げ法による腹腔鏡子宮筋腫摘出術1300症例の手術成績を解析することでの安全性と有用性を示しました。腹腔鏡手術において1000例を超える研究は少ないですが、海外の研究と比較しても当院の鋼線吊り上げ法腹腔鏡手術は同程度の安全性がありました。
本研究によって、より安全な腹腔鏡手術を目指していきます。

【分野HP】
東京医科大学 産科婦人科学分野
【研究実績に関する主な論文】
2024年11月10日

消化器外科?移植外科学分野
(八王子医療センター)
術前3D画像SimulationとICG蛍光法による
切除肝区域Navigationによる低侵襲腹腔鏡下肝切除法の開発

肝臓は門脈の分布によって8つのSegment(亜区域)から構成されています。特に肝細胞癌に対する肝切除では、残肝機能を温存しつつ腫瘍学的な根治性を得るためにも、その亜区域を正確に切除する手技(系統的切除)が必要とされます。そこで、術前CT画像からSynapse Vincentを用いて肝臓の3D構築を行うことで術前シミュレーションを施行しています。さらには、術中ナビゲーションとして担癌Glissonを結紮して、全身ICG注入により目的の肝亜区域領域のNegative Stainingを行い正確な亜区域切除領域を可視化することが可能となります。本研究により腹腔鏡による高難度肝切除の正確性向上に寄与することが期待されています。

【分野HP】
東京医科大学 消化器外科?移植外科学分野
(東京医科大学八王子医療センター 消化器外科?移植外科)
【研究実績に関する主な論文】
2024年10月【UP】 2023年7月

消化器?小児外科学分野 【NEW】小児排便障害 ヒルシュスプルング病に対する腹腔鏡手術の有用性

ヒルシュスプルング病は、新生児期?小児期に発症する代表的な先天性腸管運動障害であり、腸管の神経節細胞が欠如することで排便困難や腸閉塞を引き起こします。外科的切除が唯一の根治的治療であり、従来は開腹手術が一般的でしたが、近年では腹腔鏡手術の技術が向上し、小児においても低侵襲な手術が可能となっています。腹腔鏡手術は創部が小さく整容性に優れ、術後の疼痛が軽減され、早期退院や社会復帰が期待されます。本研究では、ヒルシュスプルング病に対する腹腔鏡手術の安全性、治療成績、術後合併症の発生率などについての有用性と限界を明らかにすることを目的とします。また、術後の排便機能やQOLの評価を通じて、より質の高い小児外科治療の提供に資する知見を得たいと考えています。

【分野HP】
東京医科大学 消化器?小児外科学分野
【研究実績に関する主な論文】
2024年6月